「創作」〜ヒラメキの話
ポール・マッカートニーが代表曲の1つである「イエスタデイ」を書いた時のエピソードっていうのが、僕の中ではどうかすると曲そのもの以上にインパクトのあるものでした。
これはご存じの方も多いと思うんですけど『ある朝起きたら、頭の中でメロディーが鳴っていた。とりあえずその場でそれをササッと書きとめて、あっさり1曲できあがった』っていう、アレですワ。
この話を何かで初めて知った時、すごいなあ、曲ってそうやってできるもんなんだなあ、作曲って、こういうヒラメキが来て初めてできるもんなんだ…とか思ったもんでした。まあ、実際自分が曲作りを始めてみると「いや〜、実際にはそんなことってそうめったに起きてくれるもんじゃねえよなあ」っていう重い現実(笑)を突きつけられる日々(^^ゞ それでも曲は少しずつできてくれてるわけですから、トータルで考えると、まあ、良かったの…かな?
さてさて、それでも最近創作に関するいろんな本を読むうち、上記の印象的なエピソードから2つのことに思いが至るようになりました。
(1)ここではほとんど本の引用になってくるんですけど(汗)。
まずは『「超」整理法』(野口悠紀夫・著)から。この本、当初仕事に役立てようと思って買った本だったんですが、なんとラスト4分の1が「ひらめき」に関する話だったんです。そこにこんなことが書いてありました。
ニュートンはりんごが落ちるのを見て万有引力を発見したという。(略)これらは、何を意味しているのか?アイディアは
とんでもないときに脈略もなく現れるということか?
そうではない。(略)ニュートン自身でさえ、子どもの頃からりんごが落ちるのを何度も見ていただろう。
だから、正確に言えば、問題は、「なぜ、その時のニュートンだったか」である。
その答えは明らかだ。つまり、彼らは、すでにその問題を考えていたのである。そして、着想の一歩手前まで来ていた。
ニュートンは、りんごが落ちるのを見てから考え始めたのではなく、すでに万有引力概念のごく近くまで来ていた。(略)
アイディアは何もないところに突然現れたのではなく、潜在意識下で着実に思考が進んでいたのである。何かのきっかけ
に意識が顕在化したとき、外から見ると、たまたまアイディアが生まれたように見えるだけである。したがって、重要なのは、
きっかけではなく、問題に真剣に取り組んでいたことである。
思えばポール・マッカートニーも、そしてビートルズの他のメンバーも、実はピアノの習得に励んだり、実はクラシック音楽なんかも聴きまくってたりと、一見ざっとしてるようで、裏ではものすごくストイックに勉強・研究に励んでいたようです。ましてデビューからずっと世間の期待という名のものすごいプレッシャーがあったわけですから、やっぱりつねに背水の陣で「創作という問題に真剣に取り組んでいた」ことが、イエスタデイを生み出した、というのが本当のところなんじゃないかな、と、最近では思っています。
(2) もう一つのポイントは「夢の中」ですね。
だいぶ前にテレビで、画家のダリが、あの有名なグニャッとした時計の絵(「記憶の固執」っていうらしいですが)を書いた時のエピソードを見たことがありまして。
シュールレアリズムで有名なこの人も、当初は普通の絵を描いてた人だったそうです。それが作風に行き詰まってしまい、なんとかスランプを打破しようとしてずーっともがいていたある時、ウトウトと居眠りしててその時の夢にこの構図を夢に見て、絵が完成し、同時にダリの方向性も決まっていったのだとか。それ以来、ダリはキャンバスの前で意図的に居眠りをするよう心がけて、インスピレーションを期待していたそうなんです。
上記の『「超」整理法』にも、アイデアの浮かびやすい場所として「三上」というのを紹介してて、その中に「枕上」っていうのを挙げてます。
あと、音楽は数学に共通する部分が多いとよく言われていますが、岡潔っていうすごい数学者は「数学的発見の前には緊張と、それに続く一種のゆるみが必要ではないか」と常日頃考えていたそうなんです。
これらの話を総合すると、どうやら
曲作りに一所懸命励んで悩んで疲れ果てた後なら、
おやすみタイムに良いインスピレーションが期待できるかもよ〜
…と結論づけられそうですね♪
ちなみに僕も、夢の中でメロディーが浮かんだ経験ってのがたった一度だけあるんですよネ〜(^^)
どういうわけか歌番組で吉田栄作がスクールメイツをバックに熱唱しているのをブラウン管越しに見ているという妙な夢で、起きてからもサビメロだけは覚えてたんですよ。制作中は「吉田栄作の歌」と呼んでたんですが、「わーい、これってイエスタデイみたいだ」って思ってあんまりうれしかったんで、完成した時に思わずビートルズナンバーをもじって「焚きしめたい」なんていうタイトル付けたもんですワ(笑) EWの方に置いてますけど、また後日こちらにアップしましょうかね、ヘヘヘ。