「創作」と「制作」を分けて考える

 僕が初めて手にしたDTMの機材は、音源と初心者向けソフトをいくつかセットにした懐かしの「ミュージ郎・Macintosh版」でした。
この時メインのシーケンスソフトだったのはMOTU社の「Freestyle」。
 僕はこのソフトの使いやすさと生まれて初めての多重録音というものにすぐ惚れ込み、夢中になりました。なんと便利で手軽なのか…。何でも画面の上で出来てしまうじゃないか!…あの時の新鮮な驚きと感動は今でもハッキリ覚えています。
    
この感動がその後、僕に「Performer」を買わせることになりました。いわば「刷り込み」みたいなもんですね(笑) 
      MacもWinも素晴らしいソフトがたくさん出回っていますが、選ぶ時の基準に、その人がそのソフトに出会った時の「感動の大きさ」って影響しますよね♪


 さて、最初は一人多重録音ゴッコみたいなことをして遊ぼうという動機での購入でしたが、その後作曲を始めようと考えた時にもこの「Freestyle」、たぶんすごく頼もしい味方になってくれるはずだ!と思いました。
 ところが。
 「さあ、曲を作るぞ!何か思いついたら、すぐ多重録音へ移行してやる」と思ってシーケンスソフトに向かっても、何かしっくり来なかったんです。自分にとっての「最初の作品」がなかなか書けない、湧いてこない。なんでかなあ??

 
−このあたりはおそらく、人によって一番感覚が分かれるところでしょうね、中には上記のような環境だと次々いろいろ思いついて困るんだよ、という羨ましい人もいるかもしれません−

 …が、悲しいことにそんな才能に恵まれてない僕は、逆にたくさんの機材に電源が入っていると、妙に肩に力入ってしまうんですよね〜。張り切りすぎて、逆にアイデアが何となく出てこなくなってしまう…みたいな。旅先の便秘的にというか(笑)
 それともう1つ!! 良いアイデア(モチーフ)を思いついても、それがリビングでくつろいでる時だったりすると、その時点で初めて記録しようとパソコンを起動するわけですから、実際に記録する作業が始まるまで最低でも2分程度はかかってしまうわけです。このちょっとしたインターバルの間に、思いついた曲のアイデアを忘れてしまう、もしくは一瞬の高揚したテンションが「まあ、いっか」と変に冷めてしまい、アイデア自体が逃げてしまう。僕はこのパターンが非常に多かったのです。まったくもって、素晴らしい(気がする?)アイデアほど逃げ足は早い!
 しかもどういうわけか、ふと良いメロディーが浮かんできたり、ついこぼれてくるように口ずさんだり…というのは、
寝床とか風呂場とか、パソコンと一番縁のない場所
が多かった気がする(笑)
 そんな失敗を経ていくうち、自分の頭の中で次のような図式がだんだん形になってきました。かなり乱暴な括りですが、

 
作曲=「創作」=アナログ作業。
      ヒラメキからすべてが始まる。イメージを広げふくらます過程

 編曲=「制作」=デジタル機器が一番強みを発揮するのはココ。
      広げたイメージを具体化しまとめる過程


 さらに強引に論を展開すると、僕の場合は(まとめるのに最適な)「制作」のための環境上で一生懸命に(イメージを広げる)「創作」活動にいそしんでいたわけです。
 そらぁアキまへんわな
(←松下幸之助風で)。首尾良く行かんわけです。
 そんなわけで、シーケンスソフトは「編曲・制作過程」に移行してから登場させるもの、というスタイルが1つ、自分の中で明確になりました。
 そうなると当然次は「創作・作曲過程」のために最適な環境を求め始めることになります。

      しかし…ま〜改めて自分はこういうことをつらつらと考えたり書いたりするのが好きな人間だと思いますねえ。。
      そんなヒマあったら曲書かんかい、と、これまた自分にツッコミ入れたくなります(--;)




 

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